#76 よその街から学ぶこと
 

 10月に取材で行ったパリ滞在では、珍しく、楽しいもの、おいしいもの、好きなものを選ん
 で紹介するという特集企画でした。
 好きな人が多いパリという街の魅力は何かというと、私にとっては、例えば私たちの日常を
 考えると、もしかするともっとアナログな、そして自分のペースをある程度守れる環境があ
 りそうなことです。冷凍食品専門のスーパーもしっかりと根付いているし、そこが簡単で便
 利と いってで買い物する人も多いですし、手軽で時短が必要なリズムになってきたのかもし
 れません。旅行者にとっても、いろいろな部分で便利になって来ています。数年前と比べた
 ら、びっくりするほどスムーズに行われることも増えているのですが、その一方で、あまり
 変わらないことも少なくはなくて、それは、便利で快適でスマートな生活が一番、という考
 え方をすれば、決して格好いいものとは言えないようなことかも知れません。
 便利で快適、というのは、必ずしもそれを利用する側にとってのことだけではなくて、提供
 する側に都合のいい場合もあって、食べ物で言えば、長く日持ちするための添加物などは、
 それを買って食べる側にとっては、実はそんなにメリットとも言えないのではないか、と思
 うのです。もちろん、一旦買ったものをいつまで置いても腐らなければ、それはそれでいい
 のかも知れないのですが、いいものもそうでもないものも全部一緒に食べちゃうからな、と
 思います。それに、味つけ過多な場合も多いのです。
 そういう点で比べると、あちらには便利な調味料も日本ほどはないし、何だか全体像が少し
 違うのです。日本人は雑食で探究心旺盛ですから、どんどんアレンジして、収集がつかない
 ほどいろんな食品が増えて行きます.それはある種の才能かもしれない。
 でもやっぱり、作られすぎた味や食感には抵抗があります。それを選ぶまでの自分の意志が
 あればいいけれど、意識しないで飛びつくことがあるとすれば、少々問題なのではないかと
 思ったりします。

 パリのマルシェが素敵、といっても、一体何が素敵なのか?野菜がパックされていないだけ
 でも違いますが、素材がきちんと手に入るというところかなと思うことが多いのです。
 東京の八百屋さんだって、新鮮な素材を扱っているところはたくさんありますが、何と言う
 か、作った人が売りに来ている割合の違いなのかも知れません。
 それに加えて、食生活に関してだけでも一般的には意外に地味ということ。地味という意味
 には、単純で同じことの繰り返し、というニュアンスもあります。特に、毎日の基本の食事
 はそれでいい、単調でも暮らしの土台なのだから、と思ってしまいます。土台がしっかりし
 ていないと何かあったらふらついてしまいそう。普通の暮らしを引いて見た時、素敵と思え
 るポイントが何かと考えると、身の丈に合っているかどうか、でしょうか。
 いつもそういう感覚を持っていたいと思います。
 パリ案内は、素敵!と思ってもらえるお店やものを紹介するのが主旨ですが、実は私の中で
 は、単に華やかでお洒落な街というだけでない、ちょっと違う部分を見つけてもらえるとい
 いなというのが密かな目的でもあります。

 ジョルニ特集記事のパン・デピスの表記が、なぜかパン・デ・ピスになってしまっていまし
 た。残念。ちょっとスペイン語風ですが、いずれにせよ、ピスでは架空のお菓子!ですね。
 パン・デピスと言えば、思い出すのはクリスマス。いろんな国に、同じようなスパイス風味
 のお菓子があります。どうぞ穏やかで暖かいクリスマスを。











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