#66 意外な新連載
アエラスタイルマガジン(朝日新聞出版)という、季刊の男性誌で連載が始まります。縁の
なさそうな、意外な雑誌なのですが、実はそうでもないのかもしれません。
3月11日以来、始まってしまった新しい世界で自分の暮らし向きをどんな風にイメージす
るか、またはイメージできるかどうかで、これからの生活が決まってくるように考えてい
ましたが、どう考えても、基本は食べ物じゃないのかなあと思うのです。
それも、必要に応じて自分で料理を作れるかどうかなのではないかと。老若男女の区別な
く、です。今回始まる連載は、男性向け実践編とでもいえばいいのかも(ほんとは男女の別
なく見て欲しいのだけれど)。

立派な料理を作れるかどうかということではなくて、日々の糧になるものを、自分で準備で
きるかの問題です。野菜を選ぶのだって、適当にはできないものだし、調味料にしても、混
ぜればいいだけ、とろりとかければいいだけのものは、意外にいろいろ加えてあって、味が
つき過ぎなのではないか。素材が安全かどうかも注視していかなければいけないことだけれ
ど、人任せの調味料の、注意しないと濃すぎる味つけに慣れることが、気になってしかたが
ない。ほんとうに気をつけないと、濃い味がすり込まれて、いずれ素材の味がわからなく
なってしまいそう。それが何とも気になるのです。
例えばお母さんが息子に、「ラー油あるわよ」と言い、でも息子は「いいよ、塩かけるか
ら。この塩うまいもん」なんていう会話は、夢のまた夢かもしれませんが、そううことが
あったっていいですよね?まずは大人が、まともな味覚を取り戻さないといけないのではな
いかしら、と思ったりしています。それには、自分で作ることなんですよね。だから、騙さ
れたと思って時々でいいから作って、うまくできたりできなかったりしながら慣れて、そし
てなにかひとつ自信を持って作れるようになって欲しい。

その料理がいいものなのかどうかは、見た目の豪華さでもなくて、小魚1匹だって、天日に
干して、下味がついていたりしたら、それは表には見えないけれど、優れた一品なのだと思
うし、そういう工夫が料理の面白いところです。底知れぬ奥深さ、とも言えるかな。もちろ
ん、そんな職人技はなかなかできたものではないですけれどね。でも、素材と、どう調理し
たのかと、何で味をつけたのか、だいたいわかるくらいの料理が基本だとしたら、素人だっ
て、場合によっては、外食するよりいい味が作れることだってあるはずです。
料理経験の浅い男性スタッフが多い中で、なんだか料理教室みたいに進んでいる撮影は、私
にも新鮮ではあります。美しくおいしそうな写真につられて、試しにやってみるか、という
人がいることを願いつつ。興味さえあれば何とななります。明日、9月5日発売。
そうそう、連載のタイトルは「料理の言葉」です。





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